●自然素材と工業製品の調和

ヒノキ、スギなどの国産材、ベイヒ,ベイスギなどの北米材のにおいには、ダニの繁殖が抑えられることが確かめられています。 次のグラフは、精油成分による殺ダニ効果の実験結果を表したものです。ヤクスギの土埋木(伐採されたヤクスギの地中に残された根の部分のこと)では、3日後には90%以上が死滅しています。特に強力なのがクマリンです。このにおいのもとでは、ダニは1日で全滅します。クマリンはサクラの葉から抽出される成分で,桜餅の葉から発する独特の甘い香りです。
木の精油は防虫剤として,古くから使用されてきています。スギの葉を蒸した蚊とり線香、クスノキから得られる樟脳などが一般によく知られています。また、ヒノキ、コウヤマキ、サワラ、ヒバには木材を食害するシロアリを殺したり、追い払ったりする成分が含まれています。
問題となっている気管支ぜん息やアトピー性皮膚炎など、アレルギーの大きな原因の一つにダニがあげられています。特に気管支ぜん息の50%から90%は室内のダニが原因と言われています。
上のグラフはある集合住宅の床をカーペットからナラ材など木材のフローリングに改装したときのダニ数の調査結果です(1㎡当り)。これを見ると改装後にはダニが激減しています。これは木材の持つ調湿効果や木材に含まれる成分が有効にはたらいたことや、隠れ場所になるような隙間がなくなったからと考えられます。木にはダニを寄せつけない効果があり、清潔で健康な暮らしに大いに役立っているわけです。
〔参考資料・出典〕 財団法人 日本木材総合情報センター・全国木材協同組合連合会「人と環境にやさしい木のはなし」をもとに作成/実験データは森林総合研究所生物活性物質研究室 宮崎良文 1996より
左のグラフを見ると、鉄筋コンクリート造、木造ともに外気温を緩和していることがわかります。しかし、鉄筋コンクリート造は年間を通して、外気温より高く、冬は暖かいのですが、夏は暑過ぎです。一方、木造住宅は外気温と比較すると、夏涼しく冬暖かいことがわかります。
その左官材の中でも、最近の一番人気は珪藻土でしょう。珪藻土は、植物性プランクトン(藻)が化石化したもので、昔から火に強い土として七輪の材料などに使われていました。
