住宅営業の誕生 その2
以前書いた「住宅営業の誕生」の続きになります。
2.モデルハウスの誕生
建築業界では知られていますが、1960年代のはじめにプレハブ住宅のはしりとして積水ハウスの「A型」、大和ハウスの「A型」が発売されます。
こんな感じです
ちなみに積水ハウスのA型で現存している住宅(別荘)がちょっと前にニュースになりました。築53年経って「有形文化財」に選ばれたんです。軽井沢に建っているんですが部屋だけでなく水周りを備えた「国産化工業化住宅」として228万戸建てられたそうです。
詳しくは⇒積水ハウスのニュースリリース
今見ればいかにも「プレハブ小屋」ですが、1960年代といえば第2次大戦が終ってまだ15~20年ですからね。こういう20坪くらいの平屋は日本中でたくさんあったと思いますよ。僕が小学生だった1970~80年代でもありましたね。
こういうのとか
いまでもたまに見かけると、当時の友人を思い出してものすごく懐かしく感じます。
話が横にそれましたが、この頃(1960年代)に「住宅展示場」が全国展開されていきます。
それまで圧倒的主流だった木造住宅に対して実績のないプレハブ住宅が戦いを挑むためには、「実物」を見てもらう必要があったからです。そうなると当然その実物を説明する人間がおおぜい必要になります。これがそれまで個人でしかいなかった住宅営業ではなく職種としての「住宅営業」が生まれた瞬間だったのではないでしょうか。
注文住宅という商品の差別化もここから始まったともいえます。
それまでは基本的に知り合いの(もしくは何らかの関係のある)「町の大工さん」が主流でしたから信頼して家づくりを頼む、というケースがほとんどで合い見積もりもほとんどなかったと思います。
しかし、もう知り合いでもなんでもない営業や会社に家を頼むのですから金額も仕様も心配ですし比較検討しますよね。そうなると「うちのキッチンは~」とか「うちのお風呂は~」とか「鉄骨だから燃えませんよ~」とかそれぞれの会社で違いを出して差別化していくことになります。「住宅の本質を見失っている」という批判もありますが、日本の家の快適さが上がったことにも繋がったと思います。
ただし、高度経済成長期には「造れば売れる」という時期でもありましたからいい加減な住宅会社や営業が多かったであろうことも想像できます。私はバブル崩壊後の就職で飛び込み営業もしていましたが、築20年以上の家を訪問していると施工した建売業者はたいがい倒産していましたし、結構名の知れたメーカーでもアフターフォローしてないケースも良く聞きましたね。
現在はどうかといえば、お施主さんにとっては間違いなく良い時代になったといえます。
インターネットがあって色々な情報が手に入るようになりました。それで迷うことももちろんあるでしょうけど、少なくとも求めれば知ることは出来るのです。材料でも構造でも会社の評判でも全てを知ることはできなくても、きっかけくらいは必ず手に入るはずです。
ひょっとすると今度は住宅営業が必要ない時代がくるのでしょうか?
たとえばジブンハウスさんでは「家はスマホで買う時代」と宣伝してますし
桧家住宅さんでは、営業の応酬話法をマニュアル化しAIチャットボットを採用しています。
桧家ホールディングス、AIチャットボット導入で受注拡大に向けて営業力を強化
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000182.000001318.html
私個人としては、「住宅営業は減るだろうけど無くならない。」と思っています。
なぜなら住宅は検討する項目が多すぎるからです。構造・材料・工法・構造・耐震性・断熱性・プラン・設備・資金計画etc…。だから「もう信頼できる人(代理人)に任せたい」という気持ちを持つ人が必ずいるからです。これは良い悪いではありません。今の住宅営業とはスタイルが違うかもしれません。前よりもっと知識が必要になりますし、それにも増して「人間性」が求められるようになるでしょう。
でも、家づくりを任せて頂き、長い時間をかけて「~さんに頼んでよかったよ!」とお施主さんに感謝される、住宅営業の喜びは替えがたいものですからね!
記事 コミュニティビルダー協会代表 浄法寺亘
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