コミュニティビルダー協会ブログ 「住まいの温熱環境の実態と満足度」調査について
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「住まいの温熱環境の実態と満足度」調査について
先日、旭化成建材から「あたたかい暮らし研究会」として、2回目となる「住まいの温熱環境の実態と満足度」調査(対象地域:北海道、宮城県、首都圏、中京圏、阪神圏、福岡県)の結果が発表になりました。
調査概要
- (1)調査内容
- 第2回「住まいの温熱環境の実態と満足度」調査
- (2)調査目的
- 住まいの温熱環境の実態と満足度及び生活者の意識・行動の実態を調査することで断熱材事業におけるコンセプト開発・マーケティング活動の一助とする。
- (3)調査対象
- 北海道、宮城県、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)、中京圏(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)、阪神圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)福岡県の一戸建持家居住者(夏季回収N値600、冬季回収N値637)
- (4)調査期間
- 2016年8月24日~26日(夏季調査)、2017年3月3日~6日(冬季調査)
- (5)調査方法
- WEBアンケート調査
1)基本データ編
6つの地域(北海道、宮城県、首都圏、中京圏、阪神圏、福岡県)での住宅の総合的な満足度と家全体の温熱環境(あたたかさ、涼しさ)の満足度とを比較すると、温熱環境に満足している人の比率が20%低く32.6%となっていることが明らかになりました。
「夏」、「冬」の温熱環境の満足度は「春」、「秋」と比較して低く、不満度は約30%と高いことが分かりました。不満度の高いスペースは夏季では「台所」と「トイレ」、冬季では「洗面所」、「浴室」、「トイレ」でした。
住まいの温熱環境に満足している人の満足理由としては、夏季は「風通しがよい」、冬季は「日当たりが良い」がトップで、続いて夏季・冬季とも「冷暖房の効きが良い」となっています。一方、不満の人の不満理由は、「暖房しないと寒い(冷房しないと暑い)」が高く、「冷暖房部屋との温度差」、「1・2階の温度差」が続いています。
夏季の団らん時の室温で最も比率が高いのが「26~28℃」、起床時も「26~28℃」で、同じく冬季の団らん時が「16~20℃」、起床時は「6~10℃」であることから、夏季と比べて冬季の方が団らん時と起床時の温度差が大きいことが分かりました。
また、夏季暑くて使えないスペースのある比率は45.4%で、冬季に寒くて使えないスペースがある比率27.5%を大きく上回っています。具体的には夏季暑くて使えない部屋・スペースは、「寝室」がもっとも比率が高く、続いて「トイレ」、「納戸」の順。冬季は「洗面所」、「廊下」、「納戸」の順となっています。
2)地域データ編
6つの地域別にみると、住まいの温熱環境の満足度は北海道が最も高く、「たいへん満足」の比率が20%で、他地域と比較して10%以上高くなっています。「たいへん不満」と「やや不満」を合わせた不満度は阪神圏が最も高いことは分かりました。
また、北海道の冬季における住まいの温熱環境に対する満足度は50%を超え、他エリアと比較して高いことや、北海道の各部屋の温熱環境の満足度が他エリアと比較して高いこと、季節別に見ても、夏を除いて北海道の「たいへん満足」の比率が高いことも分かりました。
具体的には、団らん時の居間・食堂の室温(21~25℃)の比率が北海道で50%を超えていることや、他地域では、団らん時の居間・食堂の室温(16~20℃)の比率が高くなっていることの他、起床時の居間・食堂の室温21℃以上の割合が北海道では、20%を超えていること、同じく16℃未満の比率が宮城県、中京圏、阪神圏、福岡県では50%を超えていることが判明しました。
北海道では他の地域と比べて「石油(灯油)ストーブ」、「全館空調」の利用比率が高く、「エアコン」と「石油(灯油)ファンヒーター」、「こたつ」が少ないことや、温熱環境に満足している理由として「暖房している部屋とそれ以外の部屋で温度差がない」、「1・2階の温度差がない」を挙げる比率が他の地域と比較して25%以上高いことが分かりました。
3)室温別データ編
クラスAの住まいの「住まいの総合満足度」の「たいへん満足」は33.4%、「温熱環境の満足度」の「たいへん満足」は22.1%となっており他のクラスより高くなっています。「冬の温熱環境の満足度」においては、クラスAの住まいの満足度が約50%と他クラスと比較して高く、「部屋が寒くて使えない、あるいは使いたくない部屋やスペースがある」とする比率は他クラスと比較して15%以上低くなっています。
また、住まいの温熱環境の満足理由で、クラスAの住まいは「暖房している部屋とそれ以外の部屋で温度差がない」、「暖房している部屋における上下の温度差が小さい」の比率がクラスDの住まいと比較して高くなっていることや、日常生活において部屋で寒いと感じた時の行動を比較すると、「毛布やひざ掛けをかける」、「カーテン・雨戸を閉める」、「暖房をしている部屋のドアや間仕切りを閉める」などの防寒行動がクラスDよりもクラスAの住まいで少ないことが分かりました。
「居間・食堂にある暖房器具」の比率については、クラスAの方がクラスDよりも少ないこと、クラスDの住まいには、「石油(灯油)ファンヒーター」のある比率が高く、クラスAは「全館空調」の比率が高いことなどが分かりました。
4)暮らしデータ編
省エネ行動では、夏季・冬季とも「エアコンの設定温度の上げ下げ」、「照明はこまめに消す」が多いことや、男女別に見ると、女性の方が多くの省エネ行動を行っていることが分かりました。
夏季居間・食堂にある冷房(涼房)器具は「エアコン」がトップで82.2%、次いで「扇風機」が61.1%とでした。冬季の暖房器具も「エアコン」がトップで71.6%、続いて「こたつ」、「石油ファンヒーター」、「床暖房」となっています。
また、日常生活において寒いと感じた時の行動は「あたたかい飲み物を飲む」、「毛布やひざ掛けをかける」に次いで、「靴下をはく」、「服を重ね着する」といった衣類による調整が多いことも分かりました。
5)意識・知識データ編
「住まいの温熱環境が良ければ家族の気持ちや身体にいい影響がある」(当てはまる+やや当てはまる)とする人が68.2%に上り、特に女性では76.9%と高い比率でした。また、「温熱環境が良くなると行動量が増えると思う」も、女性が59.6%と高い比率となっています。
温熱環境に関する用語の認知度は全般的に低く、特に「ZEH」、「Q値」、「C値」、「UA値」については「知っている」、「なんとなく知っている」を合わせても10%以下という結果でした。
築年数別に見ると、築年数が古いほど温熱環境満足度が低く、不満度も高くなっています。また。築10年以内に建設した方でも温熱環境のいい家にできなかった理由として「温熱環境のいい家について知らなかったから」、「重視しなかったから」をあげる人が多く、それぞれ30%を超えています。同じく、20代、30代でのその比率は比較的高く30%を超えています。
記事 コミュニティビルダー協会理事 浄法寺
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